「殴るぞ①〜⑥」吉田戦車

殴るぞ! 4 (ビッグコミックススペシャル)
当方、中学時代に「伝染るんです。」のコミックスを読んで以来、好きな漫画家はと聞かれたら必ず吉田戦車と答えるようになった。中学の卒業文集の、自分の似顔絵欄にはかわうそ君が書かれ、ご丁寧に「僕はかわうそ。」などとセリフが書き込まれていたりする(決して当時僕はかわうそだったわけでもなく、ハワイに憧れていたわけでもなかった)。
大学に入ると、僕は友人に「てんぽ。のギャグは吉田戦車に大きく影響を受けている」と言われ、そんなもんかなあ、と思ったこともあったっけ。そんなに不条理なギャグばかり言ってた記憶はないんだが。
かと言って僕は吉田戦車が書く漫画を全部読んでいるわけではなかった。「ぷりぷり県」なんかはビッグコミックスピリッツを読んでいてもさらっと読み飛ばしたりすることもあったくらいで、そこまで「吉田愛」にあふれていたわけではない。せいぜい紙コップに3分の1程度の吉田愛で毎日を生きていた。
伝染るんです。」の時の僕は若かった。まだあの頃は「不条理ギャグ」な漫画は「伝染るんです。」以外知らなかった。数年前からスピリッツ誌上で「殴るぞ」の連載が始まって、僕は毎週スピリッツでその連載を読んでいたのだが、なぜかコミックスを買うことはしなかった。きっといろいろなものに慣らされてしまったんだと思う。中学生だった僕は20代後半になり、「殴るぞ」の作風は「伝染るんです。」と同じものにしか思えなかった。
ところが、先日「殴るぞ」の第6巻が発売されたと聞き、猛烈に「殴るぞ」のコミックスが欲しくなった。この心境の変化は何なのか、と聞かれると僕も返答に困ってしまうのだが、欲しくなったものは欲しくなったのである。物欲に理由なんていらない。たまたま今日パルコの本屋に行ったら、4巻以外のコミックスが並んでいた。僕は迷わず1、2、3、5、6巻の5冊を大人買い(こういうのを大人買いというのかどうか僕は知らないが)。が、4巻だけがない。そのあと何軒か本屋を回ったが、なぜか4巻だけ置いてない。これは帰ってからアマゾンかなーと思っていたら、たまたま近くのヴィレッジヴァンガードで4巻発見。1日で全巻そろえてしまうあたりが、やっぱり大人買いって言うんじゃない?僕の中の吉田愛は10年以上の年月を経て今日、燃え上がったのであった。
というわけで、戦車ワールド全開です。ああ、明日からまた不条理なことばかり言ってそうだよ、僕。