言いたいことも言えない

医師がHPで患者中傷 「頭悪い、二度と来るな」
医療系ブログがこの話題で大騒動である。
実際サイト開設してすぐにこういう問題が起こると、なんだかなあ。
僕がこうやってWEB上に文章を書いていく上で、一番おそれていたことが起こってしまった感じ。このニュースは守秘義務、医療倫理、その他いろんな微妙でギリギリな問題を含んでいる。
某マスコミサイトに日記の抜粋が出ていたので読んでみた。
うん、確かに書きすぎの感も。しかし医療者側としては、患者に対して「二度と来るな」と思ったことなんてない、というと間違いなく嘘になる。この耳鼻科医の先生の失敗は、それをWEBで書いちゃったことなんだろうな。

文句を言う患者に「今すぐ帰れ。二度と来るな」と書いたり、

例えば、救急外来で大声で騒ぐ患者。必要もないのに注射をしてくれるまで帰らないとo怒り始める患者。酔っぱらって看護師さんにからむ患者。なぜか腹を立てて胸ぐらをつかんでくる付き添い。そんな患者達に対してやはり僕も「二度と来るな」と思うのである。それは医療者としてではなく、一人の人間として。これは不自然なことなのだろうか?医療者としてはそれでも治療、処置を完遂させなければならない。「二度と来るな」という思いは心の中にしまい込んで、(確かに機嫌はきわめて悪くなるのだが)検査をオーダーし、処置を続ける。
上に書いたことは極端な例だとしても、患者は弱者、医療者は強者、という図は必ずしも成立しない

忘年会中に呼び出された緊急手術について「この緊張感がたまらない」と記したりしていた。

なにか、医者が酔った状態で手術するのがいけないという論調で。
いや、確かによくない。よくないが、忘年会の最中呼び出しを食らって病院へ行き、目の前には手術の必要な患者がいるのだ。
僕みたいに地方の病院に勤務していると、ほかの病院に転送するにしても救急車を手配するのに20分、隣の病院に着くまで20分、そこからもう一度転送先の病院で術前検査。少なくとも手術開始までゆうに1時間半は超える。自分の病院で手術するなら1時間後には手術室に入室できて手術開始もできている。その30分の差が、生死を分けることもある。
医者が酔った状態で手術しちゃいかんなぞ言うやつは、実際人が生きるか死ぬかの場面に出くわしたことがない人間なのではないか。
それとも、医者は酒を飲むなと言うのか。あと、24時間全く寝てない状態で手術するのはかまわないのか。

でも、あの日記の内容はやっぱりまずいよな。。。あの日記を弁護するつもりはないけれど、報道に対してはだからどうしたという気分にもなる。
ああ、なんだかムカムカする。何に対してムカムカしているのか、はっきり分からないけど、なんだか。酒を飲んで寝よう・・・。