末期癌で入院中の患者さん。本人には癌の告知はしていない。
だんだん食事が取れなくなってきて、ベッドから起きれなくなってきて、それでも「食べないと力がつかないからねえ」と食事を数口だけ口にしては吐き出す日々。
僕は何も言っていないけど、この人はきっと全部分かっている。
「良くなったらいっぱいおいしいもの食べようねえ」と、僕。
「先生の顔を見ると元気が出るわあ」と言ってくれるこの人のために、僕は嘘をつきとおす。