研修医

「研修医」(ななこ先生のところより)
僕はあの時代には珍しく大学を卒業してすぐ市中病院に出て内科とかを含むローテート研修を1年間やったクチで、それなりに満足していたのでローテート研修に対しては擁護派なんですけど・・・。
僕が研修医だった頃、よく言われた言葉は「てんぽ。君は外科に行くんだから、今のうちに他の科のことを一生懸命やっておきなさい」ということだった。要するに、一生を捧げる専門に入る前に、寄り道をして視点を広げておきなさい、ということだろうと思うんだけど、確かにその通りだと思う。視点を広げる、いろいろなことを経験する、ということはつまり医療に使える自分の手持ちのカードを増やす、ということなんじゃなかろうか。
まあ、そのカードの中には一生使わないカードも入ってると思うんだけどさ(でも案外そういうのって少ないと思うよ)。
今の僕がローテート研修の恩恵をどれくらい受けているのかは自分でも分からないけど、例えば手術のあとの患者さんの治療に対して、外科医としての目だけでなくて、内科的視点をもって見ると、やっぱり見えなかったものが見えてくることもあるのだ。

で、今の研修システムの話。
なにぶん今の研修システムに、研修する研修医側もついてこれていないような印象が・・・。
昔からローテート研修をしていたうちの病院でも「自分は○○科志望だから△△科はやる気がしません〜、だからさっさと帰りますぅ」という研修医が増えたような気がする。ローテート研修って、そういう態度だと何の意味のない、指導医にとっても患者にとっても研修医にとっても不幸なシステムになってしまうと思うんだよねえ。
いろんな科に片足突っ込んで、その科が何をやっているのかをみる、どんな疾患を診ているのかを見る、その科に関する本をちょっと読んでみる・・・。そして、自分が将来専門を決めた時に、その経験がどう生かされてくるか?を想像してみると、結構楽しいと思うんだけどなあ。

当直の時間帯にやってきた子供の外傷患者の処置を兄弟子とか小児科の先生(!)たちとやっている最中(暴れるので体を押さえたりするのが大変なんだよね)、最初にその患者を診た研修医が当直時間が終わったので「お疲れ様です〜」と帰っていったという話を聞いて、そう思ったよ。外科志望じゃないのは分かるんだけど。
ていうか、人手が足りなかったから手伝って欲しかったんだけど。