外科と乳腺雑感

さーじゃん先生(id:Surgeon:20050901)からトラバが飛んできたので少し書いてみます。

僕も修行中の一般外科医の身なので、乳腺の診療に携わっています。特にうちのような田舎の病院だと、乳腺の専門外来というのもなくて、普通の外来に乳癌検診の患者さんもやってくるし、乳癌の手術も外科のみんなが手がけています。

で、ある日乳癌検診にやってきた患者さんがつぶやいたのです。「なんで乳癌って外科で診るんですかねえ?」と。

確かにそうだねえ。

どうやら最初にその患者さんは乳癌検診は婦人科だと思って、そちらにかかったみたいでした。婦人科の先生に聞いても、乳癌の診療は婦人科だと思って受診してくる人は結構いるみたいです(さすがに最近は啓蒙が進んで減ってきているみたいですが)。中には開業医の産婦人科の先生で乳癌検診をやっている先生もいるのでまぎらわしいのですが、そういう産婦人科からも何か見つかると結局外科のほうに紹介されてきます。

で、僕はその時「男の人でもたまに乳癌になる人もいるので、婦人科というわけにはいかなかったんじゃないですかねえ」と適当なことを答えてしまったのですが、実際のところどうなんでしょうか?他にもいろいろ思い当たるフシはあるのですが正確なところが分からない。誰かご存じの方いらっしゃったら教えてください。

言われてみると、医師国家試験の勉強をしているときも、乳腺疾患というのは微妙なポジションにありました。たとえば国試受験生のバイブル、イヤーノートにもなぜか「呼吸器・胸壁疾患」のところに載ってたり。いや、胸壁疾患と言えばそうなんだけどさ。それ以前に、出題頻度が非常に少ないので、乳腺疾患は受験生の僕らからすると「勉強してもおいしくない」分野だったので、勉強が後回しになったりしてたのですが・・・(そのせいで就職したあと苦労することになったのさ)。

そんな中途半端な感じの否めない乳腺診療なのですが、最近は啓蒙も進んできているし、分子標的治療とかこれからもどんどん発展していく可能性のある分野、という印象はあります。ただ、本当に難しいんですよね、乳腺診療って。そういう「難しさ」を含めて将来的に「乳腺専門医」を目指すというのも一つの選択肢ではあるかな、と思わないでもありません。

ただねえ、毎日毎日乳腺疾患ばかり診ているというのはいろんな意味で僕には耐えられないかも。やっぱりいろんな臓器を診たい、いろんな手術をしたい、という欲求はあるからね。ま、まだ修行中なのでゆっくり考えますわw