葛根湯

えー、風邪に効くとされている漢方薬に葛根湯(カッコントウ)というのがあります。
この葛根湯の名前を聞くと、どうしても落語の「ちしゃ医者」を思い出して(この中で、どんな病気にもケガにも葛根湯を処方する「葛根湯医者」というのがヤブ医者の代表として出てきます)、僕の中ではあんまり印象がよろしくないんですが、僕の母親が西洋医学よりも東洋医学の方がいい、と思いこんでいるような人だったので、中学生の頃とか僕が風邪をひくと必ず食事の前に「葛根湯」とか「柴胡桂枝湯」とかを飲まされたりしてたわけです。そんなことしたら余計印象が悪くなるってば。しかも不味いし。
で、案の定そんなに劇的な効果が現れるでもなく、結局病院へ連れて行かれる羽目になっていたわけですが。印象が悪い上にいい思い出もない。だめじゃん、葛根湯。
ところが、以前漢方医学の本にちらっと目を通す機会があって、いわゆる「証(漢方医学での診断名みたいなもの)」がうまく合うと漢方薬はきちんと効果を示す、と書いてあったんですね。そういえば、僕がひく風邪というのはだいたい鼻水、咳または嘔吐下痢が中心で、葛根湯の適応である「風邪のひきはじめで、発熱して体がゾクゾクし、寒気がとれない」といったことはあんまりなかったんですよね。そりゃあ、証が合ってないから効かなくてもしょうがないか、と少し考えを改めてみたりしてたわけです。節操がないな、俺。
さて、このたびめでたく?僕は風邪をひいたわけですが、今回の風邪は今までの風邪とちょっと毛色が違っていました。虎縞じゃなくて三毛に・・・って、その毛色じゃなくて。寒気がして、頭が痛くて、喉が痛くて、首から背中にかけて重い感じがする・・・。ふっと、「これって葛根湯の適応じゃないか?」と思いついたわけですよ。思いついたら即実行。近くのドラッグストアに走って葛根湯購入(あえて職場で処方してもらうのではなく市販品を購入してしまいました)。そしてさっそく内服。この行動力、普段からもっと何かに生かせないのか。それはさておき。
うーん、少し頭痛とか首の痛みが楽になったかも?ただ、寒気が劇的に取れたのが驚きでした。意外といいかもよ、葛根湯。そんなわけで、今の僕のマイブームは葛根湯なのですが、下手したら本当に「葛根湯医者」になってしまいかねないので、実際に患者さんに処方するのは控えておきます(笑)。まあ外科で処方する漢方といったら「大建中湯」とか「六君子湯」くらいなんだけれども。
ていうか、これって自分の体で実験をしてないか?と思った29の夜。