沖で待つ

沖で待つ

沖で待つ

話題になっていたのと、薄い本なのでちょっとあいた時間に読めるかなあ、と思って購入。
表題作の「沖で待つ」は、同期入社の男女の絆を書いた作品。ああ、こういう「同期の友情」ってあるなあ。僕も、研修医時代、仲の良かった同期の女の子と、よく二人でラーメン食べに行って愚痴ったり、仕事をシェアしあったり、お互いに秘密を共有したりして過ごしたものでした。かといって絶対恋愛関係には進展しないという。
で、そういう関係って、実際に喪ってから初めてその関係の大切さに気付くものなんですよね。この本を読んでいて、同期を喪ったあの頃のことがなんとなく思い出されてしまったのだけど、物語自体が暗い空気を漂わせていないので、読み進めて逆に前向きな気持ちにさせられました。
もし僕があの同期の子ともう一度会って何か話すとしても、この物語の中に出てくる及川さんと太っちゃんのような感じになるのかなあ。たぶん、相変わらずため息ばかりついている僕に、後ろからカツを入れられるような感じになるのだろう。まあ、それはそれであの頃の役回りと全く変わりがないし。

仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。
同期ってそんなものじゃないかと思っていました。

そう思える同期が、もういないんだよねえ。